甘い恋の賞味期限
*****

「ただいま〜」

「坊ちゃん! 帰って来るときは電話してください、って言ったじゃないですか」

 千紘が帰ると、静子が慌てて玄関へやって来た。

「今日も、あの人のトコに行ったんですね」

「おう! 今日はプリンを食べた。サンドイッチも」

「……坊ちゃん。今度から食べたいものがある時は、私に行ってください。作りますから」

 帰ってきた千紘は、キッチンへ直行する。

「それ、なんですか?」

「千世が作ってくれた。仕方ねぇから、親父にも食わせてやる」

 冷蔵庫を開け、プリンをしまう。史朗はまだ帰って来ていないようだから、食べるのはまだまだ先になりそうだ。

「親父、いつ帰って来るんだ?」

「分かりません。今日は旦那様、お仕事なんですか?」

 史朗の電話番号も知っているし、電話もする。
 けれど、仕事以外で電話がかかってきたことはない。情報を入手するのは、いつだって千紘からだ。

「みあい、って言ってた」

「みあい? それって、お見合い……?」

 静子が、唇を噛んでうつむく。
 そして、ぶつぶつと何かを言い出す。

「大丈夫よ。今までだってお見合いしてきたけど、全部ダメになってたんだし」

「なぁ静子。オレの母ちゃんになるには、どうしたらいいんだ?」

「え? 坊ちゃんの、お母さん?」

 自分の世界から、引き戻される。
 静子は目の前にいる千紘を、見下ろす。

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