甘い恋の賞味期限
「そ、そうですね……やっぱり、旦那様と結婚しないと、いけませんね」

「けっこん? それって、どうやるんだ?」

「えっと……指輪! 指輪を贈るんです。お互いに」

 結婚式とか、婚姻届とか、千紘には難しすぎる。
 だから、1番分かりやすいものを選んでみた。

「ゆびわかぁ」

「どうして急に、そんなこと言い出したんですか?」

 母親について、今までも口にはしていた。
 だが今回は、様子が違う。

「オレの母ちゃんになってもらうんだ」

「それはーー」

「千世に!」

「…………え」

 満面の笑みを浮かべる千紘に対して、静子は無表情。
 どことなく、怒りとかそんな風な顔にも見えるが、千紘に分かるはずもない。

「静子? どうしたんだ?」

「……どうして、あの人なんですか?」

 腰を屈め、千紘と同じ目線になる。

「わ、私じゃ……ダメですか? 坊ちゃんのお母さんになるの」

「静子はかせーふだろ。それに、オレは千世がいいんだ」

 キッパリと言い切られた。
 静子は無表情にも近い顔で、千紘を見つめる。ちょっと怖い。

「今度、親父も連れてく」

「だ、ダメです!」


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