甘い恋の賞味期限
 その理由がサッパリ分からない。

(やっぱり、餌付けが原因なのかしら……)

 だとしたら、本当に千紘の将来が心配になってくる。

「ふたりとも、昼はどうする?」

 ノックもなしに現れた史朗に、千紘は邪魔するな! とでも言いたげな視線を向ける。
 が、実際にお腹は空いているのだ。

「あ、私はーー」

「オムライスが食べたい!」

 千世の言葉を遮って、千紘が自分の欲求を主張する。

「オムライス? じゃあ、あそこのホテルのレストランにーー」

「ちっげーよ! 千世が作ったオムライスだよっ」

 千紘がニカッと笑って、千世を見る。

「わ、私? いやレストランの方が美味しいと思うけど……」

「千世のがいい!」

「千紘、ワガママを言うな。彼女はお客様なんだ」

 史朗がフォローしてくれるが、千紘が引くはずもない。

「なぁなぁ、千世。作ってくれよ〜」

「……はぁ、分かったわよ」

 まさか、昼ご飯を作らされるとは……。予定に無かったが、千世は既にお昼を食べてしまっていた。レストランに行くことになれば、早いうちにおいとまできたかもしれなかったのに。

「すまないな、客だというのに……」

「お気になさらず」

 と儀礼的に言ってはみたが、自分が作ったものを専務が食べるのか。得も言われぬ重圧めいたものを感じずにはいられない。

「冷蔵庫の中のものは、勝手に使ってくれて構わない。道具も、適当に使ってくれ」

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