絶対主従関係。-俺様なアイツ-
 不意の質問に、なぜかドキっとしてしまう。

「えっ?」

 隣ではない。けど、観にいったのは一人じゃなかった。

「ほら、だ、誰か友達も連れてきてくれたのかなぁって思ってさ……!」

「え、そ、そう!友達もね、誘ったの!」

 しどろもどろとする小町に、なんだかあたしもつられてしまった。

まさかその相手が、あのミカドだなんて言えるわけがないし、イタズラされていたことも重なってなんだか妙に緊張した。


 変な沈黙。

廊下を歩く右側だけが、ちょっとだけ痛い。


そして、意を決したように、小町はぴたりと足を止めて見つめてくる。


「あのさ、愛子!トウ──!」


 その表情に何もいえず、黙っていたのだけど。

「わぁ、素敵ねぇーっ」

「ちょっと、りりか様!」

 バタバタと騒がしい足音にかき消され、直後、目の前の小町は驚愕にあふれていた。

一体何が起こったのか、理解する前に背後に衝撃が走る。


「おっわぁぁああ」

「きゃぁぁあああ」


 二つの悲鳴とずどん、と重い音が廊下に響く。

「愛子!?」

「りりか様!?」

 心配する二つの声が重なる。

ゆっくりと目を開けば、同時にふわっとバラのような香りが鼻腔をくすぐり、頬にかかったのは柔らかい髪の感触。


「ご、ごめんなさいっ」

「いや、あたしの方こそ道のど真ん中で立ち止まっちゃって……」


 見慣れない制服をまとい、ふわふわの髪をぴょこんと揺らした彼女。

更に後ろからは、ため息まじりの聞き慣れない声が。

「りりか様!そんなに慌てるからですよ?淑女たるもの――」

 凛とした雰囲気をまとい、キレイな黒髪をひとつに結った女の子。

ぶつかってきた女の子とはまるで正反対な印象だ。

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