絶対主従関係。-俺様なアイツ-
 交流会で慌しい校内は、時間が経つのが早かった。

他校との行き交いは主に二年生だから、あたしたちの学年は特に忙しい。

「じゃあね、愛子」

「うん、また明日ね、小町」

 バタバタと焦っているのに爽やかに教室を後にした小町を見届けて、あたしはため息を一つ。

少し前ならあたしも一緒になって学校を走ってでたのだろうけど。


「むしろ、今では憂鬱だなぁ」

 これから帰る先を思い出すと、余計疲労がたまる。

トボトボと家路につきながら、そういえば最近小町が何か言いかけてるなぁ、と思い出す。

結局どうしたんだろうか?

「と、と、と……」

 小町が発した一言で何か連想できないか、呟いていたときだ。


「今帰り?」

 最近聞き始めた声が背後からかかった。

「……禅くんこそ?」

「オレは帝に置いてかれちゃったってカンジだけど」

 と、人懐こくニカッと笑ってきた。

肩を並べて歩くも、ミカドとは違ってあたしのスピードに合わせてくれるあたり、禅くんはスマートだ。

ご主人様は見習ってほしいくらいだ。


「置いていかれたって、いつもは?」

「帝と一緒に車に乗せてもらってるよ。じいちゃんには小言いわれるけど」

 ケラケラと肩を揺すって笑う姿は、少しだけうらやましかった。

なんだかほんのちょっぴり、ホームシック。


「そういや、愛子ちゃん。今日からしっかりしてくれよ?」

「え?何を?」

 意地悪そうに伺ってくる禅くんに、思わず聞き返してしまった。


「今日から帝の大切なお客様がしばらく滞在されるんだろ?」

「……えっ?」

「おいおい、大丈夫か?朝礼で言ってるはずだけど?」


 し、しまった!すっかり忘れてた!


そういえば、主任が鬼みたく口を酸っぱく「くれぐれもご無礼がないように!」って言ってた。

主にあたしに、だけど。

だから今日はいつも以上に早く帰るように言われていた。


「まあ、せいぜいがんばってくれよ。愛子ちゃんがヘマしてくれれば、俺が帝の世話するだけだし」

 それは一向に構わないんだけど、なんとなーく挑発的な言い回しにカチンときてさまう。

「禅くんもうかうかしてればいいよ。あたしに仕事奪われちゃっても知らないんだからねーっ」

「なにをっ!」

 こんな会話をしているけれども、禅くんもなかなか鳴れたようで楽しそうに笑ってた。

同年代の男の子って、こういう感じだ。


そうすると、やっぱりミカドはネジが一本抜けてしまったのだ。


「ああ、そうだ。とびっきりの情報をあげるよ」

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