絶対主従関係。-俺様なアイツ-
 ドクドクと心臓が波打つ中、壁からひょこっと顔をのぞかせる。

 そこには白い光に包まれた『箱庭』があり、あたしはようやくあの“楓”の絵が飾ってある壁に隠れていたことを知った。


 その小さな花園には───


「皇さま……」

 楽しそうに笑う皇さま。

そして───


「ありがとうございます、皇さま」


 対峙するのは嬉しそうにはにかむ人影。

あたしは、そっちのほうが驚いた。


花を愛でるように──彼を、愛しそうに見つめる彼女。


「紅葉、さん……?」


 どうして? なんで?

小さなあたしの胸は、急に苦しくなった。


 言いようのない感情がジクリとのど元を熱くさせる。

いつの間にか、きゅっと唇をかんでいて、その痛みにハッと気づく。



 柔らかい白い光が降り注ぐ花園を見つめていたのは、あたしだけじゃない。


すっと通った鼻筋に、つやのある黒髪に、柔らかい唇に儚い光を受けて……


柱の影に隠れてガラスの向こうを切なげに見つめる、アイツがいた。



 ────そっか。 そういう、ことか……。



 視線は、ときに言葉以上に物語る。



 いつだって人を寄せ付けないくせに。

 誰にも関心のないフリをしてるのに。


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