兄妹ものがたり


「お前たちは、昔から変わらないんだな」


唐突に聞こえてきたそんな言葉に、窓の外を眺めていた視線を車内へと戻す。


「お前らと一緒にいると、学生の頃に戻ったような気分になるよ」


後部座席に流れていかないように、気を使って煙を吐き出す先輩をしばらく眺めて、視線を前に向ける。
時折フロントガラスに写る自分の顔は、当然のように学生時代よりも大人びていた。


「ハレは変わりましたよ、昔ほど人見知り感が抜けました。
マサも、妹ができるそうで更に老け込みました」


時の流れとともに、友人達はどんどん変わっていく。


「お前はどうなんだ?」


自分一人を置き去りにして…。


「おれは…」


珍しく、気の利いた冗談が浮かんでこなかった。
いつもなら考える間もなく言葉が飛び出すのに、この瞬間に限ってはまるで脳がフリーズしてしまったようだった。
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