兄妹ものがたり


「相変わらずバカやって、マサやハレを困らせては、サー子に怒られる毎日です」


考えてみれば、自分だけまるで変わっていなかった。

先輩の言う通り、成長したのは体だけ、それ以外は学生の頃のまま…何一つ変わってはいない。

沈黙する車内に重苦しい空気が立ち込める。
吐き出された煙がゆらりと漂って行く先を追っていると、唐突に軽い衝撃が頭を襲った。


「学生時代はいつも一緒だった仲のいい奴らが、大人になった途端に疎遠になることはよくある、そんな奴らは何人も見てきた。
でも、お前らみたいにずっと関係が続いてるのは珍しい」


頭を抑えて顔を上げれば、くわえ煙草の先輩が不敵に笑う横顔が目に入った。


「変わるのは当たり前のことだ、皆そうやって大人の世界に溶け込んでいく、学生の時のままじゃ生きていけない世界だからな。
かけがえのない奴らも、一緒に過ごした時間も、大人になることに必死過ぎていつの間にか忘れていくんだよ」


赤信号で車が停止すると、こちらを振り向いた先輩に勢いよく頭を撫でられ髪をぐしゃぐしゃにされる。
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