兄妹ものがたり


「人生には、変わらないバカも必要ってことですよね」


おどけるように笑って見せると、呆れたような、けれどどこか笑いを含んだ先輩のため息が聞こえた。


「小沼の分際で、生意気に悟ったようなこと言うな」


よく見れば、車外は見慣れた景色に包まれていて間もなくドライブが終わりを迎えることを知る。


「先輩」


晴れやかな気持ちで声をかければ、先輩がややめんどくさそうに応える。


「また飲みにいきましょう!」

「…お前とサシは遠慮する」

「ええー!なんでですかー」


無駄に声を張り上げて、うるさそうに目を細める先輩にじゃれつく。
ゆるゆるとスピードを落としていく車が、ハザードランプを点滅させながら道の脇で停車すると、もうそこは自分の家の前だった。
< 55 / 55 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

ろじうら喫茶

総文字数/11,513

その他25ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
そこは路地裏の喫茶店。 手書きの看板に導かれるままに路地を奥へと進めば、やがてそれは見えてくる。 道の突き当り、古い洋館、“喫茶”の文字と外国の言葉で書かれた店名。 古びて色あせた扉を開ければ、迎えるのは鈴の音と柔らかい声。 ここは路地裏の喫茶店。 気まぐれにブレンドされたマスターオリジナルの一杯が、疲れた心を癒してくれる店。
エトワール

総文字数/8,637

恋愛(その他)20ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
カランカランと小気味いい音がして 香ばしくて甘くて優しい香りが流れてくる。 その場所は―― 「いらっしゃい。よかったら、見ていかない?」 “エトワール” 本日も元気に営業中。
ファインダー越しの瀬川くん

総文字数/9,424

青春・友情21ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
春が来る。 冷たい冬を押し流すように、暖かくて柔らかい風が吹いてくる。 これは、教室の片隅からお送りする物語。 一人ぼっちの教室でファインダー越しに世界を眺める私と 切り取られた一瞬の中で眩しいほどに輝く彼の 小さくてささやかな――二人の物語。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop