嘘とワンダーランド
わたしと京やんはエレベーターを降りると、オフィスへと足を向かわせた。

「とにかく、挽回のチャンスだ。

圭介の気持ちが他のところへ向く前に、看病で圭介の気持ちを取り戻してこい。

ファイト!」

京やんはグーにした両手をわたしの前に突き出した。

「うん、頑張ってくる」

わたしはグーにした自分の手を、コツンと京やんの手にこづいた。

「そうと決まったら、定時であがれるように仕事を片づけるぞ」

「そうだね」

わたしと京やんは首を縦に振ってうなずくと、オフィスへと入った。
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