最強甘々計画


 その後朝食を終え、二人で静かにテレビの情報番組を眺めていても、さきほどの塩河さんの意味深な言葉が頭の中で反復して、全く気が気じゃなかった。


 私も塩河さんとの間にロマンスを期待してる。塩河さんに食べられたいと思ってる。


 私のことをこれでもかと真摯に考えてくれる塩河さんといると楽しくて、穏やかな気持ちになれる。同時にいつかこんな日々にも終わりが来るのかと思うと、心苦しくなってくる。その心苦しさはつまり、恋愛感情に直結している。


 そう、私は塩河さんのことが好きなんだ。彼の本命になりたいと思ってる。同じ会社に所属している社員という関係だけに、欲望が満足しなくなっている。


「……ハロウィンか」


 頬杖を突いたままテレビを観ている塩河さんが呟く。十月三十一日の今日の情報番組は、朝からハロウィンの話題で持ち切りとなっていた。土曜日なので、朝から渋谷はハロウィンの仮装をした人たちで大混雑しているらしい。


「みたいですね」


 ハロウィンに楽しい思い出がなく、仮装パーティーというものにもさほど関心が持てない私は、テレビのハロウィン特集を遠い目で見る。


「俺らも今からやる? ハロウィン」


 塩河さんが目を輝かせて言った。
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