しあわせのかたち
そして、その飲み会から数日後――…


七海が一人になるのを見計らい、俺はご飯に誘った。

そして、会社から少し離れた創作料理のお店に入る。

お酒を飲みながら、ご飯を食べ、いろんな話をした。

お酒もすすんだ頃。


「なぁ、七海」

「はい」

「七海って、本当に彼氏いないの?」


前に一度聞いたのに、気になる俺はもう一度聞く。


俺の問いに、七海は“何が聞きたいのだろう?”と不思議そうな顔をしている。

俺は緊張しながら、七海の答えを待った。


「いませんよ」

「阿部君、だっけ?この間の。阿部君は彼氏じゃないの?」


何でもないような感じで答える七海に、俺は一番気になっていた事を聞く。

阿部君の名前を出すと、七海はきょとんとしていた。

七海的には、どうして阿部君の事を聞かれたのかわからないみたいだ。

七海の態度で、“七海と阿部君は付き合っていない”とは感じたけど、それでもはっきりとした言葉で聞きたい。

そんな俺は、


「望月の歓迎会の日、阿部君と帰っただろ?」


七海の答えが待ちきれなくて、そう聞いた。

何の事を聞かれているのかわかった七海は、


「阿部とは何でもないです。同期で仲がいいだけです」


慌てた様子で答える。


「じゃぁ、付き合ってはないんだね?」

「はい」


七海の口からはっきりとした事を聞いてホッとした俺は、「……ならよかった」と、心の声が出てしまった。

そして、この時、俺は、

今日、七海に気持ちを伝えよう

と決意した。

だって、七海に俺の側に居て欲しい。

七海を他の男に、阿部君に取られたくないから――…


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