しあわせのかたち
帰り道。

俺は通りがかった公園に七海を誘った。

そして、ベンチに座り、しばらく沈黙が流れる。

基本的にいつも女から寄って来て、自分から告白をした事がない。

唯一、自分から告白をしたのは、大学生の頃に付き合っていた元カノだけ。

まぁ、彼女の場合は、何度か会ううちに、彼女も俺に好意を持ってくれている事がわかったから、そこまで緊張はしていない。

だけど、今。

七海は、俺の事をどう思っているかわからない。

いや、七海は俺の事を上司としか思っていないだろう。

自分の事を何とも思っていない相手に気持ちを伝えるのは初めて。

俺は、今までにないくらい緊張をしていた。

だけど、いつまでも黙っているわけにはいかない。


「なぁ、七海……」


俺は口を開く。


「いきなりこんな事を言われても、困ると思うけど……」


話し出したはいいが、緊張し過ぎて喉がカラカラに乾いていた。


「俺……、七海の事が好きなんだ。俺と付き合って欲しい」


俺はまっすぐ七海の目を見つめ、自分の気持ちを伝えた。

いきなりの告白に、七海はすごく驚いていた。

そりゃ、そうだろう。

俺が異動して、まだ二ヶ月と少ししか経っていないのだから。

今答えを求めても、断られるのは目に見えている。


だから、


「急いで答えを出さなくていいからさ……。俺との事、考えて?」


俺は、そう伝えた。


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