しあわせのかたち
お会計も済ませ、お店を出る。


「七海、帰るか?」

「……うん」


私と阿部の家は同じ駅。

帰る方向が一緒なのだから、そりゃ、一緒に帰る事になるよね。

でもさ……

ソレ、どうするの?

私は酔っぱらって阿部の背中に乗るようにくっついてる佐々木を見た。

阿部は「重い!」と言いながら、佐々木の腕を払っているけど、佐々木はしつこく絡んでいる。


「ねぇ、碧。ちょっと……」


私は手招きをする弥生の側に行く。


「佐々木のせいで、話が途中になっちゃったけど……。いきなり二人に告白されて混乱したかもしれないけどさ。もう一度、落ち着いて考えてみたら?碧、自分の気持ちに自信が持てないんでしょ?」


さっきちゃんと話せなかったけど、私が自分の気持ちに自信が持てなくなっていったのを会話と私の表情で弥生は気付いたみたいだ。


「本当に主任の事が好きかもしれない。でも、もしかすると、主任の事は“好き”というより“憧れ”だったのかもしれない。それはわからないけどさ。主任の事をもう一度見て、ゆっくり自分の気持ち、碧の幸せになれる答えを考えな。私はその碧の出した答えを応援するよ」


弥生は阿部と佐々木に聞こえないように、小声でそう言ってくれた。


「うん。ありがとう」

「じゃぁ、また来週ね!」


弥生は笑顔でそう言うと、


「ほら!佐々木、帰るよ!」


と、阿部に絡んでいた佐々木を連れて帰っていった。


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