君色ドラマチック
計算機を使いながら、身ごろの寸法を打ち込む。画面に線が現れる。
違う。もう少し、滑らかなラインでないと。
できるだけ腕が細く、胸が大きく、お腹がスッキリ見えるように……。
ああ、袖のフリフリ部分、面倒。
「先輩……今日は人が違うみたいですね」
結城信者の後輩が、おそるおそるといった風に声をかけてきた。
それに気づいて顔を上げると、時計は正午を少し過ぎていた。
チャイムにも気づかなかったのか。とうとう耳まで悪くなったと思われたかな。
「休憩、行かないんですか?」
私が行かないと、後輩たちが休憩に入りにくいものね。
課長は既に、席からいなくなっている。
「ごめん、遅くなって」
謝って立ち上がると、後輩たちはホッとしたような表情で、会釈して部屋を出ていく。
後輩たちとランチを共にすることは課長に誘われない限り、ほとんどない。
私は財布をつかむと、どこへ行こうか考えた。
社食はあの宇宙人に遭遇する可能性が高い。
売店でおにぎりでも買ってさっさと済ませ、仕事に戻ろうか……。
髪をくくっていたゴムをはずすと、長い髪がはらりと落ちて背中をなでた。