君色ドラマチック
じっくり観察する。袖口のフリルも、スカートのフレア部分も、イメージ通りにできている。
「良かった……」
ホッと胸をなでおろすと、櫻井さんが笑顔で他の社員に向かった。
「パタンナーも気にいったようだ」
「では明日の会議の準備を進めますね」
「ああ、よろしく頼む」
明日の会議?
あ、そうか。これですべてのサンプルが出来上がったから、もう一度会議で商品化できるかどうか、改良すべき点はないか、色展開をどうするか、等を確認しあうわけね。
そこにパタンナーは必要ないよね。私はただの助っ人だし……。
一人でうなずいていると、ぽんと肩を叩かれた。
その瞬間、終業のチャイムが天井に響く。
「さて杉原、飲みに行こう」
「えっ」
嫌だ……。
「あからさまに嫌そうな顔するなよ」
あ、また顔に出てしまったみたい。
「この前の意地悪は謝るって。いいパターンを作ってもらった礼に、約束通りおごってやる」
約束って……そういえば、そんなことを言っていたような。
「パターンがお気に召したなら、それで良いです。お気持ちだけ、ありがたくいただいておきます」
お願いだから、そっとしておいてください。
櫻井さんの手を優しくどけようとすると……。