君色ドラマチック
「櫻井さんがそんなことを言うなんて、珍しいですね」
企画部の社員が笑って言うので、出ていくタイミングを逃してしまった。
メガネの、真面目そうな男性だ。
「杉原さん、この人はよっぽど気にいった人でないと、飲みに行こうなんて言わないんですよ」
そうなんだ……って、私が櫻井さんに気にいられたってこと?そんなことあるわけない。
「その通り。俺は基本、一人で過ごすのが好きなんだ。他人と飯を食うのなんか、時間の無駄だと思ってる」
「はあ……」
「その俺がおごってやると言っているんだ。四の五の言わずについてこい」
なんだその理屈……わけがわからない。
けど、あまり意固地に拒否して、今後の仕事に響いても嫌だし……なんかしつこそうだし。
「そうですか。では、ありがたく」
心の中で盛大なため息を吐きながら、仕方なく櫻井さんについていくことにした。
社外から街に出ると、周囲の視線がこちらにちらちらと注がれていることに気づく。
その理由は櫻井さんにあるようだ。
背が高く、肩幅が広いせいか、かちっとした大人っぽいジャケットがよく似あっているからかな。
まあ、黙っていればイケメンと言えないこともないし。
私はこんな気取った宇宙人、大嫌いだけど。