イジワル上司の甘い求愛

「有瀬さんっ!!」

喫煙ルームの扉を開けたと同時に呼び止められた。

ゆっくり振り向いた私に、浦島さんはにっこりと微笑んだ。
喫煙ルームの古びた小さな窓のすりガラスから射し込む西日がやけに眩しい。

西日に照らされた浦島さんの笑顔は、私が高校の頃に憧れた『太郎さん』のままで。
私の胸は、嫌味なくらいに大きく飛び跳ねる。


私を呼び止めたものの、浦島さんは瞳を揺らして次の言葉を探している様子だった。

2人の間に流れる無言の時間がもどかしくって息苦しさすら覚えて、私の方が先に口を開いた。

「昨日はカイセイハウスとのミーティングもうまくいきました。先日はありがとうございました。浦島さんのおかげです」

私の言葉に浦島さんは目を細めてくれる。

「それならよかった。コーヒーありがと」

そう言って浦島さんはもう一度小さく笑った。


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