イジワル上司の甘い求愛
「失礼します」

聞こえたか聞こえないか分からない位の声でもう一度呟き、頭を下げる。
今度こそ喫煙ルームから出ようとした私に艶っぽい浦島さんの声がかけられる。


「チャキ」

えっ?!


思わず身体に力が入って動けない。
息が止まるほどに驚いた。

なにかの聞き間違いだったことにしようとする私の意思とは反対に、心臓が自分でもはっきり分かるくらいに高鳴っている。


「チャキ?」

振り返ることが出来ずにいる私に浦島さんはもう一度呼びかける。


どんな顔して、浦島さんの顔を見ればいいんだろう。


さっきから顔中が熱くて仕方ない。きっと真っ赤になっているに決まっている。

だけど2人きりのこの場所から逃げることも出来ない。

私は小さく息を吐きだすと、ゆっくりと浦島さんの方に身体を向けた。

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