イジワル上司の甘い求愛
ゆっくりと振り向いて、西日に照らされた浦島さんの顔が真っ赤になっていることに気が付くまで、そう時間はかからなかった。
なんて顔してるんだろう。
「真っ赤だよ。有瀬さん」
浦島さんこそ……。
耳まで朱に染めている浦島さんが、恥ずかしそうにしながら意地悪に呟く。
それが照れ隠しだってことくらいバレバレなのに、私だって恥ずかしすぎて言い返すことも出来ないまま、目に角を立てて浦島さんに視線を送ることしか出来ない。
「明日、一緒に飲みに行かない?」
浦島さんは、私の瞳を真っすぐに見つめてはっきりとそう言った。
「えっ……」
「明日の夜空けておいて。一緒にご飯でも食べながら話をしよう」
「じゃあ、お疲れ様」
浦島さんはそれだけを言うと、私の横を通り過ぎて先に喫煙ルームを後にした。