イジワル上司の甘い求愛
大通りに出た交差点を右に曲がれば駅が見えるという所で、浦島さんは急に立ち止まった。


「浦島さん?」

「有瀬さん、もう一軒付き合ってくれない?」

「えっ?」

浦島さんからの急なお誘いに、驚きの声をあげる。

「せっかくおしゃれしてきたんだろ?そのワンピース初めて見るけど、よく似合っているよ。近くにお勧めのバーがあるから、もう一杯だけ付き合ってくれる?」

浦島さんはそれだけを私に言うと、近くの路地裏の通りを歩きだした。

なんなのよ、もう。

シフォンワンピースの裾を軽く握りしめ、口を尖らせてみる。

浦島さん、私のことなんて空気のように扱うことだってあるのに。

なんだか褒められたことも重なってくすぐったくって仕方ない。


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