イジワル上司の甘い求愛
浦島さんはしばらく視線を宙に彷徨わせてから、あぁ、と私の言葉を柔らかく受け止めた。
「それは、チャキが俺の直属の後輩ではなくなったからかな。仕事上では『有瀬さん』と呼んでるけど?」
まだ俺も慣れてないけどなって、冗談っぽく付け足した浦島さんの表情は穏やかで、幾分顔を朱に染めている気さえした。
仕事とプライベートでは私の呼び方は別ってこと?
「簡単に言えば、俺だけの呼び方で有瀬さんのことを呼びたいってことだよ」
浦島さん、酔っぱらってる?
「あぁ、これって、独占欲かな」
私の動揺なんて気づいていない様子の浦島さんが苦笑いしながら、ボソッと呟いた。