イジワル上司の甘い求愛
「ねぇ、千晶?」
グラスワインを一口だけ喉に流し込んだ梨沙が、神妙な顔して私の名前を呼ぶ。
「千晶は浦島さんのこと、好き?」
言葉に詰まった。
きっと親友の梨沙のことだから、嘘をついても無意味なこと位分かってる。
だけど、自分の気持ちを言葉にしてしまったら、後戻りなんて出来ない気がして私は少しだけ下唇を噛みしめる。
梨沙は有難いことに私の答えを焦らせることなく黙って待っていてくれる。
しばらく考え込んだ私は小さく頷いた。
「私、浦島さんのこと好き、なんだと思う」
「そっか……」
私の答えに梨沙は消え入りそうな声で呟いた。