イジワル上司の甘い求愛
「えっ、どうした?」
浦島さんは慌てふためいた様子で、私の隣の席に戻ってきて私の顔を覗き込む。
「太郎さんのせいです」
呟くように何気なく言った一言に、ハッとしたのは私ではなく、浦島さん。
「ん?」
浦島さんが耳まで真っ赤にして右手で顔面を押さえて項垂れたようにしているのに、気が付いたら、何故だか自然と涙は止まっていた。
「どうしたんですか?浦島さん」
「チャキ、お前……、不意打ちだろ」
不意打ちって……
浦島さんが言っていることが分からない。
だけど、明らかに浦島さんは顔を真っ赤にして私と目をあわせてはくれない。
「今度こそ帰ろう。送る」
浦島さんはそっぽを向いたまま、ぶつくさとそう言いながら立ち上がった。