イジワル上司の甘い求愛

「待ってください、太郎さん!!」

浦島さんを追いかけようと、私も慌ててベンチから立ち上がったその瞬間だった。


ぐらり。

目の前がふんわりとして足元がぐらつく。

あぁ、私そういえばお酒結構飲んでたんだったな


今さらながらそんなことを思い出したのだけれど、時すでに遅しってきっとこんなことだ。


後ろにぐらりと身体が傾くと、まるでスローモーションにかけられたみたいに時間がコマ送りで進んでいく感覚に襲われる。

自分でも地面に勢いよく打ち付けられる衝撃を覚悟したのだけれど……


「……っ、あぶねぇ」

焦った浦島さんの声を耳元で聞くと同時に煙草の煙の匂いと4年間ずっと変わっていない浦島さんの香水の混じった匂いに包まれる。

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