イジワル上司の甘い求愛
浦島さんの言葉に私の心は大きくぐらついて、少しだけ浦島さんの腕の中で身体を預けてみる。

浦島さんの胸は、私が思うよりもずっと鼓動が早い。

「太郎さん、ドキドキしてる」

あぁ、なんてこと言っているんだろう私は。

きっと、こうやって余計な一言が出てしまうのはさっき飲んだアルコールのせいだ。

「なぁ、チャキ。気が付いてる?さっきから俺のこと、『太郎さん』って言っていること」

ふいに口から漏れ出た言葉を後悔している私に、浦島さんが困った様な声で思いがけないことを伝える。

「えっ?!」

素っ頓狂な声をあげて、私は浦島さんの腕の中で浦島さんの顔をまじまじと見つめるようにして見上げる。

「そんな見つめなくても」

浦島さんの瞳が揺らいで、視線を反らす。

こんな居酒屋の軒下の暗がりでも分かるほどに浦島さんの頬が朱に染まっている。


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