イジワル上司の甘い求愛
「わっ、私、太郎さんって言ってました?」
目をあわせてくれない浦島さんに尋ねると、「あぁ」とぼやくように呟く。
「ごめんなさい。浦島さんが私のこと『チャキ』なんて呼ぶからつい……」
あぁ、これじゃあ浦島さんが『チャキ』って呼ぶことが全面的に悪いって言ってるみたいだ。
浦島さんに『チャキ』って呼ばれること、嫌じゃないんだけどな。
「ごめんなさい、もう言いませんね」
浦島さんの胸の中に身体を預けるようにして小さくなりながら伝える。
「いや、チャキに『太郎さん』って呼ばれるのは大歓迎」
息を漏らすように笑いながら、浦島さんは私の耳元でそう言った。
「むしろ、2人きりの時にそう言ってくれると嬉しい」