イジワル上司の甘い求愛

「なんだ、そっか」


激怒するでもなく、呆然とするでもなく、私の言葉に返ってきた浦島さんの反応はというとため息交じりにポツリと呟いたそんな一言。


なんだか肩透かしでも食らったみたいに私は恐る恐る目を開ける。


浦島さんは私を真正面に捉えたまま、ぎこちなく笑っている。

その顔は、とても傷ついているようにも、私を憐れんでいるようにも見えて、 私は浦島さんにどういう風に声をかければいいか分からずにその場に立ち竦んでしまった。

重たい空気が2人の間を流れていく。


「今日のところは帰るよ」

沈黙を打ち破ったのは浦島さん。

浦島さんはくるりと踵を返して、私に背中を向ける。
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