イジワル上司の甘い求愛
「私じゃだめですか?」


口をついた言葉をもう止めることなんて出来なかった。

私だって、浦島さんと一緒なら罰が当たっても構わない。

会社とか、周囲の視線とかどうでもいい。

どうやら私、浦島さんのことがかなり好きみたいだ。


浦島さんが驚いた顔して振り返る。
雨のせいでスーツの肩の部分が少しだけ色が変わっている。


「私じゃだめですか?私ならきっと玲美さんより、太郎さんのこと幸せにできる」

根拠なんてないし、玲美さんに比べたら可愛げもないし、お金だって持っているわけじゃない。

だけど、浦島さんを好きな気持ちなら玲美さんには負けない。

ううん、負けたくない。

浦島さんの顔を見上げると、視線がかち合う。
浦島さんの瞳が揺れている。

絞りだした私の声を、困惑した様子で浦島さんが少しだけ眉尻を下げてじっと聞いていた。

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