イジワル上司の甘い求愛
「チャキを追いかけてきた」

私の背中に浦島さんが言葉をぶつける。

浦島さんの真っすぐな言葉に、さっきまで浦島さんにちょっかいを出していた3人が口を噤む。

「チャキときちんと話がしたかったから」


背中にぶつけられた言葉に、返す言葉を探していた。

心が揺れる。

「私……」

「あっ、もしかして、太郎さんじゃないですかぁ?お久しぶりです」

私の言葉はかなえちゃんの明るい声に掻き消されてしまう。

「あぁ、ひ、久しぶり」

「これから、私たち本多先生と写真撮影なんです。失礼しますね」

明らかに困惑している浦島さんなんて我関せずのかなえちゃんがそう言うと私の手を引っ張って写真撮影の輪の中に連れ出してくれた。


< 196 / 255 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop