イジワル上司の甘い求愛

年末、気持ちよく酔っぱらったお母さんが、大事そうに見せてくれたものはお見合い写真。


地元の企業に勤める5つ年上の会社員。お母さんの同級生の息子さんらしい。

『とてもいい方よ。千晶に特別な相手がいないんだったら……』

そう言って見せてくれた写真の男性は人の良さそうな笑顔が印象的だというのに、どこかでやっぱり浦島さんと比べてしまう。


「結婚して、地元に帰るのもいいかもしれないな」

ポロリと出た呟きはやっぱり白い息となって青空に昇る前に冷たい風に吹き飛ばされてしまった。


お正月ということもあって境内は出店も出て、それなりに賑わいを見せている。

帰りにおみくじでもひいていこうかな。

そんなことを考えながらプラプラと境内を歩いている時だった。

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