イジワル上司の甘い求愛

「お待たせしました」

「行こうか」

浦島さんは、会社の出入り口から少し離れたところにある喫煙所に佇んでいた。
私の姿が見えると、先端が赤く灯っていた煙草を灰皿に押し付けてこちらへ近寄ってきて目を細める。

私よりも少しだけ先を歩く浦島さんからは、いつもの香水の匂いと煙草の入り混じった匂いがする。

どうやらこの香りは私を否が応でも私の胸を高鳴らせるらしい。

「なぁ、チャキ。なにか食べて帰らないか?」

「それとも、少し飲んでいくか?明日休みだろ?」

今日の浦島さんは、いつもと少し様子が違う。
いつもより饒舌な気がする。


私の返事がないことに気が付いたらしい浦島さんが急に立ち止まって振り返る。

「なぁ?どうした?チャキ」

少し離れたところに立ち止まったままだった私の姿を確認した浦島さんの瞳がわずかに揺れている。

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