イジワル上司の甘い求愛
「有瀬さん、最近仕事大変みたいだな」
「浦島さんが抜けた時に業務の割り振りが大幅に変更になって、まだ慣れない業務も多くて……」
先ほどあれだけ膨大なToDoリストの付箋を見られたから隠すことも出来なくて、正直にそう伝えると「困ったな」と浦島さんは空いていた右手で頭を掻いた。
ポツッ、ポツッと雨が傘にあたり軽い音を立てる。
「そうだ。せっかくだから、有瀬さん今から一緒にご飯でもどう?それなら業務のこと分かる範囲で教えることだって出来る」
教えて欲しい。
心からそう思うのに躊躇ってしまうのは、きっと相手が他の誰でもなく浦島さんだから。