あの日の桜はⅡ【大幅修正中】

「別に止めたりなんかしませんよ、私も飲んでるんで同罪です」

 クスリ、と笑えば陸は少し驚いたように目を見開いた。

「結構渋いのな」

 私が陸の隣に腰を下ろせば、手に持っているビールを見て陸がいった。

 そういう陸の周りの空き缶は全部チューハイだ。

「さっきまで甘いのばかりでしたから、息抜きですよ」

「ビールが息抜きとか、見かけによられねぇよな」

 
「そうですか」と笑えば、「うん」と陸も笑い返す。

 いつもの陸より落ち着いて見える。

 “最初”は本人には失礼だけど、バカっぽいなぁなんて思っていたのに。

 そうじゃないことに気づかされる。

 きっと、この中で誰よりも優しいのだろう。

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