あの日の桜はⅡ【大幅修正中】
「いや、その、びしょぬれで申し訳ないんだけど、これしかなくて」
さっきからちらちらと見ている葵の視線の先をたどる。
あぁ、なるほどね。
「では、着させていただきます」
大方絞ったのかそこまでぼとぼとでもなかった。
受け取ったベストを着る。
ちょうどそれは胸元が隠れるようになっている。
さっきまで透けていた下着が丁度隠れる。
なんか、気を使わせちゃったな。
「ありがとうございます」
少しぶかぶかな感じは否めないけど、ないよりはましだと思うから。
私は別にいとして、見るに堪えないだろうから。
「いいよ、別に」
葵はまだそっぽを向いたまま答えた。