この思い秘密です
「そ・・・そんなんじゃ・・ねぇよ・・・」

ぼそっとつぶやくそうに淳平が答えた。

だったら何?と聞きたかったが

声を出したらいっちゃいけない事まで口に出してしまいそうで

淳平の言葉を無視するかのようにそのまま階段へと歩き出した。

だけど・・・

「凪!」

淳平が私の腕を掴んだ。

「放して!・・・ください」

掴まれた腕を振りほどきながら語気を強めた。

「前に俺聞いたよな。お前の書いた歌詞に出てくる男って誰だって」

「・・・・・」

はい、淳平あなたです。

とは言えず黙っていたが・・・・

「誰なんだよ」

なんで今それを言わないといけないの?

「淳平には関係ない」

「はあ?」

「私が・・・誰を好きだろうが・・・淳平には関係ないじゃない。
 それに私の好きな人と淳平がユニットを辞めたいっていうのは全く関係ないじゃない」

「そんなことはない!」

もう~~わけがわからない。

「・・・どこが関係あるのよ・・・」

「・・・イライラするんだよ」

「何にイライラしてんのよ。言いたいことがあるなら無視しないでいえばいいじゃない!」

「・・・わかんねーけど。お前見てるとイライラするんだよ」

え?

わかんないのにイライラされても私・・・対処できないんですけど・・・

っていうか存在自体イライラするんだったら・・・・もうこの関係も崩壊?

だけど・・・そうだとしてもこのままじゃまずい。

今にも泣きそうになる気持ちをどうにか抑えた。

「・・・・わかったよ。そんなに私にイライラするのなら・・・今後レコーディングは

 別録りしてもらおうよ。今日みたいに・・・それと・・・やっぱりこれはチャンスだと思うの。

ユニットは続けようよ。あいにく私たちって顔出ししないでしょ。

一緒に活動しなくたって何とかなるよ・・・」

本当はもう告白する以前に失恋確定しちゃって泣きたいけど

自分は恋よりも淳平と仕事をすることを選んだんだから・・・

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