この思い秘密です

寂しい夕食・・side淳平

「なにやってんだ?」

凪が引きつった笑顔で階段を降り姿が見えなくなると俺は壁にもたれながら大きなため息をついた。

あんな言い方するつもりもなかった。

ユニットを辞めたいというのも本心じゃない。

ここ数年ヒット曲にも恵まれず、事務所のお荷物になって、とうとう契約解除されるかも

しれない崖っぷちの俺を献身的にサポートしてくれて

ユニットを成功させてもう一度俺を大きな舞台に立たせようと頑張ってくれているのは

誰でもない凪なのに・・・・


一緒に曲作りをすることになって初めて彼女の書いた詞を読んだとき

久しぶりにドキッとした。

詞を書くよりも曲を作るほうが好きな俺にとって詞を書くのは苦痛とまではいわないが

毎回苦戦している。やっとの思いで出来上がった詞でも

正直今までいいと思ったものは片手ほどで特に苦手だったのがラブソングだった。

人気が落ちたのだってそれが原因

本気で人を好きになったことがないから

どれだけ頑張っても人を共感できる様なものが書けなかった。

だからラブソング以外の曲が増えた代わりに

ファンは減りこの有様だ。

設定を恋愛小説のようにと無理難題を押し付けたのに

凪はフィクションとはいえまるで本当のことの様の書き上げた。

その等身大のラブソングのクオリティーに感動すらおぼえた

だから気になった。



凪の好きな人が・・・・
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