虹色のラブレター
『そうだね。でも……』
僕が言いかけた言葉を遮るように、千鶴が言った。
「ううん、いいの」
僕は横目で千鶴の方を見た。
彼女の横顔が、国道沿いのホテル街のネオンで、ほのかに明るく照らされていた。
「ねえ」
『何?』
「私、ホテルにも行きたいって言ってた」
『うん。覚えてるよ』
一瞬、時間が止まったかのような間隔を置いて、千鶴は言った。
「今から行く?」
『え!?』
車は国道の両脇沿いに建ち並ぶ、ホテル街の真ん中を走っていた。
この区間だけが異常に明るかった。
建物のほとんどが、ピンクを基調とした妖艶なネオンで彩られ、まるでここだけが別世界のような独特の空間を作りだしていた。
僕は、千鶴の言う「ホテル」とは、美貴と泊まったようなビジネスホテルか何かだと思っていた。
でも、それは僕の勘違いだということに、この時、気付いた。
今、僕たちが走っているのは、ラブホ街の中だった。