虹色のラブレター
僕がボーリング場の裏に着いた時、千鶴は公衆電話の傍で、壁に背中を預けて俯いて立っていた。
真っ暗の路地で、ほのかに灯る外灯の光が、そんな彼女の輪郭を映し出していた。
僕は彼女の目の前に、ゆっくりと車を停めて降りた。
すると、千鶴は僕が声を掛けるよりも早く抱きついてきた。
そして、僕の胸に顔を埋めると、千鶴は突然声を出して泣き始めた。
僕はそんな千鶴の背中に腕を回して、そっと彼女を抱き締めた。
『千鶴?……何があったの?』
僕がそう聞くと、彼女は僕の胸の中で何度も首を横に振った。
僕はそんな千鶴の頭をそっと撫でた。
『……千鶴?』
少しして、千鶴は僕の胸に顔を押し付けたまま言った。
「ごめんね、智。迷惑だよね……突然こんなことされても……」
『そんな迷惑だなんて……』
「でも、もう少しだけ……」
『うん……』
「このままでもいい?」
僕は返事をする代わりに、彼女を強く抱き締めた。