虹色のラブレター

その夜、僕たちはいつもと変わらずそれぞれの布団に納まった。

僕はなかなか寝付くことが出来ず、部屋をオレンジ色に染めるナツメをじっと見つめていた。


「智?」


千鶴の声が聞こえて、僕は首を彼女の方に傾げた。

彼女も僕の方に首を傾げていた。


『まだ起きてたの?』


千鶴はコクっと頷いてから続けた。


「今日はありがとうね」


『何?』


「智の気持ち……嬉しかった」


『そんなの……当たり前だろ?』


千鶴は何も言わずにかぶりを振った。

そして、布団から出ていた左手を僕の方に伸ばしてきた。

彼女のその細く華奢な左腕が、僕と千鶴の部屋を区切る襖の縁をまたいだ。

僕は布団から右手を出して、そんな千鶴の左手にそっと触れた。

すると、千鶴は僕の手をそっと握った。

驚いて千鶴の方を見ると、彼女は言った。


「怖かった……」



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