強引上司の溺愛トラップ
「そういうことは、いちいち考えなくていいと思うんだよ。一緒にいるだけで幸せって思えるなら、それでいいじゃん」

「う、うん……」

「かちょーさんだって、絶対そう思ってるから。大丈夫だから」


いつもヘラヘラしててチャラい神くんの、珍しく力強い言葉。ううん、神くんは昔から、私が真剣に悩んでいる時は、いつもこうやって本気で相談に乗ってくれたね。神くんも、クッキーをくれたお客さんと上手くいくといいね。どんな女の子か知らないけど。



「ありがとね、神くん」

私がそう言うと、神くんは「まあ元気出せよ」と、クッキーをひとつ、私の口へと「あーん」をしてくれた。口の中に広がる甘い味は、今後の恋愛がきっと上手くいくような、そんな気にさせてくれた。




で。
部屋に戻ると、LINEが届いているのに気付いた。課長からだった。


【今度の金曜日、泊まりに来れる?】



……おぉ。今まさに、『上手くいく気がする』とか思ったばかりだけど、不意打ちだったせいか、何だか急に不安になる。課長が「そういうこと」を期待して、私を呼んでくれたのだとしたらどうしよう?私はきっと、まだ出来ないと思う。一緒にいるだけで幸せって、課長もほんとにそう思ってくれているのかな?

とりあえず、不安な気持ちは拭い切れないものの、課長と一緒に過ごしたい気持ちは確かだったから、私は【大丈夫です】と返信した。


金曜日、一体どうなるか……。私自身のことなのに、全く想像がつきません……。
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