強引上司の溺愛トラップ

自然な気持ちが、こみ上げてきました。

約束の金曜日。
私は業務終了後、営業室で課長にコッソリ、マンションの鍵を預かっていた。私の方が先に仕事が終わったから、これから先に家に向かって、待っている予定だ。

課長には何も言われなかったけど、途中でスーパーに寄って、夕食を作って待っていよう。きっと課長も、その方が喜んでくれるはず。


と、浮かれているのはいいものの、「その後」のことを考えると、やっぱり少しだけ気持ちが重くなる。
それなのに、もしも「そういうこと」があってもいいように、新しく買ったばかりの下着を着けてきている辺り、私の気持ちは大分矛盾しているのだけれど。



マンションに着いて、何だか緊張しながらも、部屋におじゃまする。おじゃますることは何度かあるけど、課長がいない真っ暗な部屋に一足先に入らせてもらうのは初めてで、何だか緊張する。


とりあえず、そんな緊張を払拭する意味でも、私は早速、料理を開始する。
課長の部屋のキッチンはとてもキレイだ。ただし、「手入れされていてキレイ」なのではなく、「使っていなくてキレイ」なのは一目瞭然なのだけど。
調理道具もほとんどないから、この間、一緒に買いに行って簡単に揃えた。


私は、さっき買ってきたばかりの食材をキッチンに並べ、定番だけど肉じゃがを作って課長を待つことにした。料理だけは自信があるので、そこはスムーズにこなせた。途中、【これから店を出る】と送られてきた課長からのLINEを見てからの時間調整もピッタリで、課長が家に帰ってくると、完成したばかりの夕食をテーブルにちょうど並べることが出来た。
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