強引上司の溺愛トラップ
「お、おい!?」

それに気付いた課長が、慌てて私の元へと戻ってくる。


「わ、悪かったって! 改まるのが恥ずかしくてつい、お前の理想のこととか考えずに……」

課長は私のとなりに腰掛け直して、必死にそう言うけど。


「ち、違うぅ……」

「え?」

「嬉し泣きです~~」


理想なんてどうでもいい、とは言わないけど。


好きな人に、大好きな人に、花束と指輪もらったんだよ?プロポーズ、されたんだよ?嬉しくない訳ないじゃない。


幸せだ、私。これからの人生、ずっと課長と一緒にいられるんですね。



「……指輪」

「え?」

「貸して」

課長にそう言われ、私は指輪の箱を、一旦課長に返した。


すると課長は……。


「渡辺 佐菜さん。俺と結婚してください」

改まってそう言うと、指輪の箱をパカ、と開けてくれた。


中には、ダイヤがキラリと光る、ピンクゴールドの指輪が輝いていた。



「……はいっ」

私も、これ以上ないってくらいの笑顔で、そう答えた。



理想にこだわるつもりはないけど、私の理想に添おうとしてくれた課長の気持ちも、とても嬉しかった。
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