強引上司の溺愛トラップ
「……よし、じゃあ行くか」

そう言って課長が再び立ち上がる。


「あ、はい。じゃあ私もすぐ着替えますね」

「ああ。でもいきなり行ったら迷惑かな?」

「え? 夕食に行くんですよね?」

「いや、お前んち」

「え!?」

思わず驚いてしまう。いや、課長が私の家に来たことは今までも何回かあったけど……。


「結婚の挨拶、早い方がいいかなって。まあ反対はされないと思うけど」

「は、はいっ」

私も立ち上がり、慌てて身支度を整える。


まあ、課長の言う通り、特に反対はされないだろう。
お父さんは課長のことを『若くして出世頭の立派な男性だ』と絶賛しているし、お母さんも『カッコいいのにちょっとシャイなところが母性本能をくすぐられる』と言って課長のことを気に入っている。神くんは、千鈴さんのこともあり課長とは割と普通に仲良しだし、早太くんと日路くんは課長とはあまり会ったことはないけど、問題はないはずだ。


結婚の挨拶に行ったら、家族は風に祝福してくれるかな?
理想は、めいっぱい、おめでとう、って言ってほしいな。


そんなことを思いながら、私と課長は私服に着替えて、マンションを出た。
課長は「スーツのままの方が良かったかな」なんて言っていたけど、そんなにかしこまらなくても大丈夫だ、と私が言って、普段着にしてもらった。

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