強引上司の溺愛トラップ
駅に着いてからも渡辺はずっと寝ぼけた様子だったので、さすがに一緒に電車を降りた。

ったく、終電だったのに。仕方ない、タクシーで帰るか。



酔って寝ぼけてフラフラしている渡辺を支えながら改札口まで歩く。


ほんとに大丈夫かよ。
まあ、電車待ってる時にホームで『駅まで迎えに来て』って誰かに電話してたし、改札前行けば母親とかが迎えに来てくれているんだろう。


と思ったが、改札を出てもそれらしき人はいなくて。



「オイ、起きろ」

声を掛けるも、渡辺は立ったまま半分寝ていて。


「……どんだけ器用なんだよ」

そんなふうに呟いてみるものの、渡辺のその寝顔が……




とても可愛いと


思ってしまった。




……するとその時。


「佐菜〜」

ロータリーに停められた自動車から、クラクションの音と、渡辺の名前を呼ぶ、少し高めの男の声が聞こえた。




……誰。


その男は車から降りると、俺に支えられてる渡辺の元へとやって来て、じっと俺を見つめた。
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