中毒性アリ!?副編集長に手なずけられました

「ごめん俺外から帰ったら速攻お風呂に入りたい派なんだ……」
「そ、そうでしたか……私入ってないけど大丈夫でしたか」
「いや、俺は自分がすっきりしたいだけだから、大丈夫。ごめんね引いたでしょ……」
「いやそんなことは……そうですね多少は……」

嘘を吐けなくて正直に答えると、真塩さんはまたくっとのどを鳴らして笑った。
それから自然に私の隣に座り、炭酸水をグラスに入れて飲みだした。
シャワーを浴びた真塩さんからは、とんでもなく清潔で爽やかな香りがするし、湯上りの体温がよく伝わってくる。
なんだかそれでまた緊張してしまい、私は無言のままアップルティーを飲んだ。

「そういえばなんで今日一日中話しかけんなオーラ出してたの?」
「当たり前じゃないですか、女性に敵を作ったら大変なんですよ!」
「え、何、俺のことが好きな奴がいるってこと?」

誰、誰? と聞いてくる鈍感な彼に呆れ果てて、私はぐったりとソファにうつ伏せてしまった。
そんなことより真塩さん、部屋着までおしゃれでかっこいい……スラブパイル地のグレーのパーカーにハーフパンツというスタイルで、おろした髪もなんだか幼くて可愛い。
いや、違う違うこの顔に癒されている場合ではない。私は契約のことで確認したいことがあってここにやってきたのだ。

「真塩さん、あの、この契約ってつまりどういう……う」
ソファにうつ伏せになっていると、後ろからギュッと真塩さんに抱きしめられた。
その瞬間、聞こうとしていた質問が一気にぶっ飛んでしまった。
「紫水~、俺に癒しをくれ~」
「ま、まま真塩さん、あの、待ってください聞きたいことが」
「……どこまで関係持つかってこと?」
真塩さんの低い声が耳の後ろから聞こえて、心臓がとんでもなく速く鼓動を打ち出した。
駄目だ、ドキドキしていたら流されてしまう、こんなんじゃ駄目だ。前に付き合った人も、こんな風に流されて失敗したじゃない。駄目だ、流されたら駄目だ。
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