Uncontrolled(アンコントロールド)
ここの英会話教室の良いところは、決められた曜日でなくても、その日空きがあればクラスに入れることだ。
社会人をしていると、どうしても仕事の都合で行けないという日が出てくる。何度かそれが続けば授業についていけなくなって、そのうち通うことすら億劫になってしまう。一度それを経験していることもあり、教室を決めるときに一番の決め手にしたくらいだ。
今日はいつもと違う曜日の為、顔ぶれの八割以上は見知らぬ生徒だった。机の上にノートを広げてスタンバイする。スタート時刻目前、職員に連れられてきた男性を目にして星名は思わず声を上げそうになったが、そうする前に、先日再会を果たしたばかりの朝倉が隣りに腰を下ろす。
「偶然だね。一彰から紹介してもらって今日は見学なんだけど、星名ちゃんが来てるとは思わなかった」
室内が比較的静かということもあり、ライトグレーのスーツに水色のシャツ、ネイビーのネクタイを合わせた彼が、星名へと身体を寄せて若干小さめの声で話しかけてくる。
「先輩、最近突然現れるから、吃驚して心臓に悪いですよ。いつもは大体、一彰と同じ日に通ってるんですけど、今週は別の予定が入っているので今日にしたんです」
「そういう融通利くと、無理なく通えるよな」
「先輩は? 海外赴任の話でもあるんですか?」
「いや。俺は、入社早々行かされたからね。一彰みたいな技術者でもないから、このまま日本だと思うよ。仕事柄、海外からの電話を取る機会もあるから、やっぱ普段から耳慣らしておいた方がいいと思ってね」
「咄嗟だとスムーズに言葉が出ないときもありますもんね」
続けて口を開こうとしたがアメリカ人講師がやってきた為、おしゃべりを止める。ここからの45分間は、一切の日本語を禁止されている。ちらりと隣りを見やれば、朝倉も顔を引き締めてレッスンに耳を欹てていた。
社会人をしていると、どうしても仕事の都合で行けないという日が出てくる。何度かそれが続けば授業についていけなくなって、そのうち通うことすら億劫になってしまう。一度それを経験していることもあり、教室を決めるときに一番の決め手にしたくらいだ。
今日はいつもと違う曜日の為、顔ぶれの八割以上は見知らぬ生徒だった。机の上にノートを広げてスタンバイする。スタート時刻目前、職員に連れられてきた男性を目にして星名は思わず声を上げそうになったが、そうする前に、先日再会を果たしたばかりの朝倉が隣りに腰を下ろす。
「偶然だね。一彰から紹介してもらって今日は見学なんだけど、星名ちゃんが来てるとは思わなかった」
室内が比較的静かということもあり、ライトグレーのスーツに水色のシャツ、ネイビーのネクタイを合わせた彼が、星名へと身体を寄せて若干小さめの声で話しかけてくる。
「先輩、最近突然現れるから、吃驚して心臓に悪いですよ。いつもは大体、一彰と同じ日に通ってるんですけど、今週は別の予定が入っているので今日にしたんです」
「そういう融通利くと、無理なく通えるよな」
「先輩は? 海外赴任の話でもあるんですか?」
「いや。俺は、入社早々行かされたからね。一彰みたいな技術者でもないから、このまま日本だと思うよ。仕事柄、海外からの電話を取る機会もあるから、やっぱ普段から耳慣らしておいた方がいいと思ってね」
「咄嗟だとスムーズに言葉が出ないときもありますもんね」
続けて口を開こうとしたがアメリカ人講師がやってきた為、おしゃべりを止める。ここからの45分間は、一切の日本語を禁止されている。ちらりと隣りを見やれば、朝倉も顔を引き締めてレッスンに耳を欹てていた。