Uncontrolled(アンコントロールド)
「……って話をするとさ、大体女の子は、母性本能を擽られるのか、コロっと落ちてくれるんだよね」
そう言って、にかっと白い歯を見せる朝倉に、先程垣間見せた憂いはない。星名は数瞬の間、何が起きたのかも分からず彼の姿を映したままその場に凍りつく。すぐには再起不能と気付いた朝倉が、待ったをかけるように慌てて手のひらを突きだした。
「ごめん、星名ちゃん! まだ再会したばかりで、ちょっとふざけすぎちゃったかもしれないけど、これって作り話でもなんでもないし、少し大げさに言ってるところはあるけど事実だし。おーい、星名ちゃん。戻ってきて」
さっきから一言一句逃さず、朝倉の声は聞こえている。目ざわりなくらい、目の前でオーバー気味に手のひらを振っているのだって分かっている。けれども、あまりの事に思考回路が考えることを放棄してしまっているのだ。
「……ひどいですよ、朝倉先輩。10年経ってそんな大人になっていたなんて、私たちの青春を返してください! もう信用しません」
朝倉のことを可愛いと、まさに母性本能を擽られたばかりのところでの仕打ちとあって、また周到に騙された感も否めず、すぐには怒りが収まらない。彼の前では取りつくる理由もないと、グラスに残っていたビールを一気に飲み干す。
「あーあー、女の子がそんな飲み方しちゃだめだよ」
あいにく、星名は酒に弱い方ではない。大体、誰のせいなのか、という話だ。焦る彼を尻目に、これは、純情を踏み躙られた乙女心の弔い酒だ。と伝えれば、朝倉は、タイミング良く運ばれてきたばかりの海老しんじょうを甲斐甲斐しく取り皿に取り分けて、星名の前に置く。
「ほらほら、熱いうちに食べて。スダチを掛けても美味しいよ」
「私、猫舌なんで、すぐには食べれません」
好意を無碍にし、ついと横を向けば、朝倉はあからさまにがっくりと肩を落とす。
そう言って、にかっと白い歯を見せる朝倉に、先程垣間見せた憂いはない。星名は数瞬の間、何が起きたのかも分からず彼の姿を映したままその場に凍りつく。すぐには再起不能と気付いた朝倉が、待ったをかけるように慌てて手のひらを突きだした。
「ごめん、星名ちゃん! まだ再会したばかりで、ちょっとふざけすぎちゃったかもしれないけど、これって作り話でもなんでもないし、少し大げさに言ってるところはあるけど事実だし。おーい、星名ちゃん。戻ってきて」
さっきから一言一句逃さず、朝倉の声は聞こえている。目ざわりなくらい、目の前でオーバー気味に手のひらを振っているのだって分かっている。けれども、あまりの事に思考回路が考えることを放棄してしまっているのだ。
「……ひどいですよ、朝倉先輩。10年経ってそんな大人になっていたなんて、私たちの青春を返してください! もう信用しません」
朝倉のことを可愛いと、まさに母性本能を擽られたばかりのところでの仕打ちとあって、また周到に騙された感も否めず、すぐには怒りが収まらない。彼の前では取りつくる理由もないと、グラスに残っていたビールを一気に飲み干す。
「あーあー、女の子がそんな飲み方しちゃだめだよ」
あいにく、星名は酒に弱い方ではない。大体、誰のせいなのか、という話だ。焦る彼を尻目に、これは、純情を踏み躙られた乙女心の弔い酒だ。と伝えれば、朝倉は、タイミング良く運ばれてきたばかりの海老しんじょうを甲斐甲斐しく取り皿に取り分けて、星名の前に置く。
「ほらほら、熱いうちに食べて。スダチを掛けても美味しいよ」
「私、猫舌なんで、すぐには食べれません」
好意を無碍にし、ついと横を向けば、朝倉はあからさまにがっくりと肩を落とす。