Uncontrolled(アンコントロールド)
路線は違うが最寄駅は同じだと分かり、並んで駅へと向う。他愛ない世間話を続けていたが、駅が近付いてくると、朝倉の声のトーンが少し変わった。

「こないだ渡した名刺の裏に、プライベート用の番号書いてあったでしょ。いつ連絡くれるかなって、実は待ってたんだよね」

「私も待ってましたよ。同窓会の話、いつくるのかなって」

「何もなくても連絡ほしかったな。一彰の手前、控えてたっていうなら別だけど」

「一彰は、もともとこっち地元だし、理系の割には人当たりも良いし、過去に何人か恋人もいたみたいだから、女友達もいて当然だと思ってます。だから別に、私が誰と会っていても、そこはお互い信用してるっていうか、そういうものだと思うので、彼の手前っていうことではないです」

「じゃあさ、これからは、俺も連絡するから、星名ちゃんもしてきてくれる?」

「なんで、改めてそんな事言うんですか? デートに誘いたいみたい」

「そうだよ。星名ちゃんくらいに飲める女の子だと俺も一緒に飲んでて楽しいし、彼氏いるの知ってるんだから、一応断りはいれておいた方がいいかなって」

「先輩が言っていたように、面倒なことにならないなら、またご飯行きましょう」

「その可能性が少しでもあるなら、会えない?」

「この先何が起きるかなんて誰にも分からないんだし、何かあったら、その時はその時だと思っています」

星名が首を横に振れば、朝倉は感心したように頷く。

「潔いね、そういうところ」

「だって、仕事に恋に、自分だけじゃどうにもならないことの方が、世の中多くないですか? なんて、私もすっかり大人になりましたね」

高らかに夢や理想を掲げていられたのは10代まで。経験を重ねていくうちに、自分にできること、できないことが明確になってきて、いつまでも夢は見ていられないのだと悟る。それでも、できるだけのことをやってきて現在があると自負できるくらいにはしてきたつもりだ。

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