瞳の奥の真実
岡崎くんが私の方に来る。

私の前にしゃがみ、かき氷の器を拾い、私の顔を見上げる。

言葉が出なかった。

いつもみたいに笑って「ありがとう」とか言わなくちゃ。頭ではそう思っているのに、岡崎くんの真っ直ぐな瞳から目が離せなかった。



「夏樹ちゃん?」

 その声に本当に驚いてしまった。

 一気に現実に戻された感じがした。

「どうしたの?」

「夏樹、かき氷落としちゃって」

 立ち上がりながら美優ちゃんの顔を見る岡崎くん。

「落としちゃった」
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